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神社、隠れた芸術の宝庫

 福岡県指定文化財の木像毘沙門天像を祀(まつ)る石垣山観音寺など、田主丸のお寺には、由緒ある素晴らしい仏像や絵画が大事に保管されています。しかし、各地区にひっそりとたたずむ神社にも見るべきものは沢山あります。

 田主丸の大半の神社には、江戸時代~昭和期に描かれた大小の奉納額が掲げられています。伊勢参拝を記念して奉納された場合が多いようです。画題としては、筑後に相応しい神功皇后の新羅との海戦、豊臣秀吉にちなむ賤ヶ岳の七本槍、大徳寺焼香などの武者絵が中心です。また、三十六歌仙の和歌絵が並ぶところもあります。

 こうした奉納額は、木戸を閉ざした神社では、神事の当日だけしか人の目に触れません。しかし、戸が無くて明けっ放しの神社では、賽銭箱の前でお祈りする位置からでも普通に見ることができます。その一方、開け放された環境では絵の退色が著しく、早急な調査と保存処置が必要な状況にあります。

 神事の当日に見られるものとしては、境内に高く揚げられた白い神社幟(のぼり)があります。田主丸の幟のほとんどは、神社名ではなく、漢詩のような宣揚文(せんようぶん)が太く黒く染め抜かれています。宣揚文は神社毎に異なりますから、それを知ると、神社巡りも一段と楽しくなるはずです。

 ほとんどの神社では掲揚ポールで幟を揚げています。しかし、現在でも、昔ながらに幟を付けた幟柱を人力で直立させる神社が、わずかながらに残っています。それらの神社も氏子が少なり高齢化が進めば、いつまでそれが続けられるか?今となっては、幟立てそのものが貴重な歴史遺産です。

 他にも獅子舞の獅子頭や、河童の像もあるご神体像、石灯籠や社殿の浮彫りなど、それに、社殿を始めとした数々の建造物や石碑など、見回せば歴史を伝えてくれるものが沢山あります。あるいは、神事の世話の内容を記して次に引き継ぐ「座帳」などの古文書も、昔の神事の姿を知る貴重な史料です。