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神事のお世話~地域をつなぐSDGs

 田主丸では驚くほど多くの神事や伝統行事が、地域の人々で続けられています。例えば、神事の場合、都会の人は参列するだけのイメージが強いですが、田主丸では地域の人々が神事の場を整え、そこに宮司さまが来て神事を行います。
 

 
 神事の日には幟旗が立ちます。昔ながらに幟旗の柱を氏子さん達が人力で立てる神社もあります。しめ縄は手作り、藁も自ら栽培した稲です。夏は、川から取ってきた茅で大きな茅の輪(ちのわ)を作ります。そこには伝統の技が引き継がれています。作業場は人々の冗談や世間話で盛り上がり、地域の温もりが伝わってきます。
 氏子さん達は神前の用意もします。神棚に鯛や野菜を並べ、境内に植えられた榊の木から玉串に使う枝を切ります。時には玉串に飾る紙垂(しで)まで用意します。そして、ご神事で宮司さまと共に氏子さんも玉串を供えます。
 神事の後は、神様の前で皆で飲食する「直会(なおらい)」や、御神酒を飲み交わして世話当番を交代する「戸渡し(とわたし)」が行われ、人々は親交を深めます。
 

 
 ご神事では、春は豊作祈願、夏は病気や風雨の厄除け、秋は豊作感謝、と農業に関係する祈願が多いです。今も農業が盛んなことも、田主丸に神事が多く残る一因と思われます。
 このように地元の自然・産業・地域社会に支えられて、初めて神事や伝統行事は成立します。まさに日本が育んできた伝統的なSDGsです。しかし、近年は田主丸でも担い手不足に悩まされています。しめ縄が作れる人も減り、ビニール製の既製品に代える地域が急増しています。
 

 
 2023年、田主丸の祭りは久留米市『筑後川遺産』の第2号に登録されました。田主丸の伝統文化が人から人へ、世代から世代へと持続可能になるよう、筑後川遺産を活かした活動を地域と行政が協力して展開していきます。