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町祝い(ゑびす様)ご神事~商売の町の面影

 現在の田主丸中央商店街は、江戸時代初期に日田街道中道往還の在郷町(ざいごうまち)として開かれ、昭和期まで一大商業地として大いに繁栄しました。この中央商店街を中心とした一帯で1月に行われるのが町祝い(ちょういわい)です。商売の神様・ゑびす様に商売繁盛を祈願する、まさに商売の町にふさわしいお祭りです。
 昔は、夏にも「廿日ゑびす」や「子供ゑびす」と町中総出でゑびす様を祝いましたが、今ではその名残りさへほとんど感じられません。
 

 
 町祝いは、田主丸中央商店街付近一帯の15前後の自治会によって、成人の日の前日の日曜日(以前は1/15)に行われます。他にもゑびす様ご神事はありますが、この日に集中するのはここだけです。
 ゑびす様は、石祠に祀られる所もありますが、道端のゑびす像や自然石だったり、あるいは、公民館に飾られた掛け軸だったり、と千差万別。大通り沿いのご神事では、すぐ脇をトラックや乗用車が通り過ぎる、過去と現在が交じり合った不思議な光景となります。
 ご神事が終わると、公民館やその他に場所を移して宴会が開かれます。この宴会がこの日を町祝いと呼ぶ由来です。
 

 
 数十年前までは7月20日の「廿日ゑびす」祭りが田主丸を象徴する祭りでした。自治会や企業など各種団体がドンタク隊を結成、中央商店街や国道210号線を仮想行列して練り歩きました。その日に合わせて、子ども達がえびす像を持ち出して道行く人に賽銭をねだった「子供ゑびす」も風物詩でした。
 昭和の後半から商売の勢いが衰えるにつれ、今では「廿日ゑびす」は昭和40年代の記録映画でしか見れず、「子供ゑびす」も二、三の地区に残るだけ。神事伝統行事が地域情勢と結び付いている、という事実を教えてくれます。