厄除け風止め神事 ~ 今も変わらぬ自然への畏怖
6月末から7月にかけて行われるご神事。「風鎮祭(ふうちんさい)」、「厄神斎(やくじんさい)風止め祭」、「風止め」などと呼ばれます。生活を支える農作物が大風大雨といった自然災害に遭わぬように、そして田植えで疲れた体を梅雨に壊さぬように、と祈願するお祭りです。
ご神事では、厄除け風止めの御札(おふだ)がお祓いされます。ご神事の後、外部から地元へつながる道筋や境界の四隅に、その御札を氏子さんが立てて廻ります。場所によっては、境内にある高い木の一番てっぺんに、宮司さまが風止めの祈願文を書いた白旗を掲げます。
中には、宮司さまが引いた籤(くじ)に書かれたことを氏子さんが行うという珍しい決まりも。そこまでしても災害や病いを避けたいという願いが伝わってきます。
今も多く行われるご神事ですが、場所によって様々な違いが見られます。御札を御幣(ごへい)に挟んで立てる地区もあれば、御札の代わりに竹の先を藁で包んだ棒を立てる地区もあります。棒の立てる場所も道端だったり、氏子さんの屋敷の中だったり、とこれまた地域によって違います。祈願文の旗を揚げるのも、昔は人が高く木登りをして取り付けていたのが、今では木登りできる人も減ってクレーンを使って上げる地区もあります。
このように同じご神事なのに、地域や時代によって変化することを身近に体感できるのも、狭い地域に多くの神社が集中している田主丸ならではの特徴です。