神迎えの堂籠り~夜の境内に燃える迎え火
11月30日の宵から、田主丸の多くの神社境内では、一斉に大きな焚火が焚かれます。これを地元の人は「堂籠り」と呼びます。この焚き火は、神無月(かんなづき)の間、出雲大社に行っていた神様が地元に戻る時に迷われぬように焚く神迎えの火です。
堂籠りの見どころは、何と言っても、夜空に大きく燃え上がる大きな炎です。場所によっては、うずたかく木材を積み上げ、火の勢いが境内の木も燃え移りそうになる時もあります。この行事は筑後地方でも元浮羽郡と言われた田主丸町と隣のうきは市だけしかないようです。いつからどのようにしてこの地域で堂籠りが始まったのか、気になるところです。
元々焚き火が消えぬように男の子が社殿に籠もって夜通し火の番をしたところから「堂籠り」と呼ばれます。数日前から地区を回って焚き木やお菓子、ご祝儀の「お花」をもらって、当日は子どもだけで社殿や境内の公民館に籠ったそうです。少子化と安全性を配慮して、今では大人達が代わってやっている地区が多いのが実情です。また、今はどこでも夜10時頃には焚き火を終えます。
昔の名残りとして、例えば、森部・天満神社や柳瀬・玉垂命神社では子どもが焚き火に火を点け、柳瀬玉垂命神社や麦生・矢倉八幡宮では子どもがお参りに来た人に御神酒やお菓子を渡すお接待役も務めます。男の子に限ると人数が足りないので、今は女の子も参加しています。
子どもたちが堂籠りで役割を担って参加することはとても大切です。堂籠りを通じて子どもたちは自分も地域社会の一員であることを身をもって体験し、その思い出が大人になってから伝統行事を続ける大きな原動力となるはずだからです。